4748日後のクリスマス
小さくため息を吐いて、少し冷静さを取り戻した俺は、「いつ帰ってきたの?」と、できるだけ平常に聞いた。
「あ、昼間だよ。昨日から冬休みなの」
戸惑いながらもそう答えた美菜は、夏よりも随分と大人っぽくなっていた。
俺は乾いた笑いを見せてそっか、と言ったけど、実際には笑えていなかった気がする。
いや、普通に考えて笑えない。
会話が終わって沈黙の空気が漂っている時、おばさんが話し掛けてきてその場は何とか終わらせることができた。
「こっちこそいつもご馳走になっちゃって…。
それにしても美菜ちゃん、きれいになったわねぇ。」
母さんがおばさんから視線を美菜に向け、美菜に話を振った。
笑顔でそう言う母さんは、きっと心の中で俺を笑っているに違いない。
「えっ」
美菜は顔を真っ赤にして反応した。
…正直すぎる奴。
昔とは変わっていないところを見つけて、少し安心した。
すると美菜は落ち着きを取り戻したようで、
「そんなことないですよ。おばさんも相変わらずきれいで」
…なんてお世辞を言った。