4748日後のクリスマス
斉藤さんはそう言って、立候補するかの様に控えめに手を上げた。
「え、でもいーの?宏樹」
「あ、まあ浮気じゃないんならネ。別にいいけどネ」
…かなり棒読みになってるんだけど。
まぁ、宏樹もちゃんと斉藤さんのことが好きなんだろう。
「大丈夫だよ、中野くんは美菜ちゃんが大好きなんだから」
慌てた様に宏樹に弁解をする斉藤さん。
宏樹は渋い顔をしながらも了承をしてくれた。
「じゃあ、お願いします」
「うん、いいよ。それじゃあまた後で連絡するね」
そう言って斉藤さんはこの場から去って行った。
「…悪いネ宏樹クン」
「いえいえ気にしてないヨ。俺ビックハートだから」
やっぱり宏樹は、根に持っているらしい。
―――「じゃーな、宏樹。また明日」
あれから数時間後、仕事が終わった俺は急いで家に帰ろうとしていた。
「おー、じゃーな。ちゃんと美菜ちゃんと仲直りしろよ」
じゃないと俺が焦るから、とかなんとか言う宏樹に、俺は笑ってわかってる、と返した。