4748日後のクリスマス
――それから暫くして、仕事からの帰り道を歩いていると、少し前に美菜らしき姿があった。
…もしかして、美菜?
もう11時はとっくに過ぎているのに、一人でこんなくらい道を歩くなんて。
足を速めて更に近づいてみると、それは確かに美菜だった。
「美菜」
咄嗟にそう声を掛けると、一瞬ビクッと体が反応して、ゆっくりとこちらを振り向いた。
「きょ、キョーちゃん…」
「やっぱり美菜だ。なにしてんのこんな時間に」
人気のない夜道でいきなり声を掛けられて驚いたのだろう。
…こんな時間に一人で歩くなんて、危険すぎる。
「同窓会に行ってて…。キョーちゃんは仕事帰り?」
…同窓会。
だからこんなに遅くなったのか。
「あー、うん。残業してた。
てか同窓会って、お前夜道歩くの無理だろ。気を付けろよ」
少し強めに、そう言った。
すると美菜は、
「ごめん…」
とあからさまに眉を下げて謝った。
「わかったならいーよ。
早く帰ろ、おばさん心配してる」
ポンポンと美菜の頭を軽く叩いて、歩き出そうとした。