4748日後のクリスマス
3日前
「あ、美菜!よかった、間に合ってー。新幹線込んでたでしょう」
帰省ラッシュが激しい駅のホームを歩いていると、目の前には真冬だというのに、額に汗をかくお母さんの姿があった。
12月21日。
約束の日は、あと3日後に迫っていた。
「えー、わざわざ来てくれなくてもよかったのに。
子供じゃないんだから」
そう言いながらも心底嬉しいあたしは、苦笑した。
「お父さんが行けってうるさいのよー。自分は仕事だし、杏菜は家で宿題だしってね」
夏振りに見たお母さんの姿は、夏とはあまり変わっていなくて、あたしはホッとした。
やっぱり、実家が一番だ。
「ったく、あんたも誕生日前に戻ってくるなんて、計算高いんだから。
クリスマスを一緒に過ごす人とか、いないの?」
呆れたように、そうお母さんは言った。
「あのねぇ、そういうこと聞かないの!
好きな人がいるんだよ、好きな人が」
「好きな人って、まさか京平くん?
あんたまだ好きだったの」
お母さんによってあっさりと発されたその言葉に、あたしは持っていた荷物を落とした。