4748日後のクリスマス
「キョーちゃん、クリスマスも仕事なの?」
歩き出すと、突然美菜がそう聞いた。
…クリスマスか…。
「あー一応その日から休みに入るけど、まだわかんね」
美菜の言葉に、それほど意味はないだろう。
俺も普通に答えた。
…つもりだけど、実際は手がかなり震えてた。
「クリスマスに用事とかさ、ないの?」
その言葉に、震えていた手はピタ、と止まった。
用事なら、ある。
…美菜との約束が。
「あー、ねーよ。今は仕事一筋になんねーと」
俺は『約束』が用事と言える程勇気はなく、淡々とそう答えた。
…仕事一筋なんて、一生言うことはないと思ってたけんだど。
「つかまじ寒ぃーなー」
俺は話を変えるようにそう呟きながら、寒くてポケットに手を突っ込んだ。
丁度そのとき、ピロロロー…と一定に鳴る、普通の着信音が鳴った。
「……あ、俺だ」
もしかして仕事関係の人かな。
そう思った俺は、急いでポケットから携帯を取り出し、急いでその電話に出た。