4748日後のクリスマス


「…もしもし」

『あ、中野くん?』

「あ、斉藤さん。どーしたんですかこんな時間に」


一応仕事関係の人だけど。
斉藤さんから連絡が来るなんて、珍しい。



『ほら、今日約束したじゃない?美菜ちゃんへのプレゼント。そのことなんだけど……明日、空いてる?』

「え、明日?まー空いてますけど…」


そうだった。斉藤さんに手伝ってもらうんだった。
今、かなり失礼なことをしてしまった。



『よかった。
それじゃあ明日、またね』


「わざわざすいませんでした」


今の話を美菜に聞かれていないか心配になり、斉藤さんには聞こえるように、小さくそう謝った。


「ごめんな、仕事の人からだった」


そう言いながら携帯を閉まった。
美菜は何か言いたそうに俺を見つめていた。


「……明日、仕事じゃないの?」

「明日?仕事だけど…
あ、もしかして電話聞こえてた?」


いや、それはまずいだろ。
美菜にバレたら全てが無駄になってしまう。


美菜は多分、仕事なのに空いていると言ったことが気になっているんだろう。



「明日の夜のことだよ。仕事の人と何人かで飲みに行くらしくて」



< 51 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop