4748日後のクリスマス
「…もしもし」
『あ、中野くん?』
「あ、斉藤さん。どーしたんですかこんな時間に」
一応仕事関係の人だけど。
斉藤さんから連絡が来るなんて、珍しい。
『ほら、今日約束したじゃない?美菜ちゃんへのプレゼント。そのことなんだけど……明日、空いてる?』
「え、明日?まー空いてますけど…」
そうだった。斉藤さんに手伝ってもらうんだった。
今、かなり失礼なことをしてしまった。
『よかった。
それじゃあ明日、またね』
「わざわざすいませんでした」
今の話を美菜に聞かれていないか心配になり、斉藤さんには聞こえるように、小さくそう謝った。
「ごめんな、仕事の人からだった」
そう言いながら携帯を閉まった。
美菜は何か言いたそうに俺を見つめていた。
「……明日、仕事じゃないの?」
「明日?仕事だけど…
あ、もしかして電話聞こえてた?」
いや、それはまずいだろ。
美菜にバレたら全てが無駄になってしまう。
美菜は多分、仕事なのに空いていると言ったことが気になっているんだろう。
「明日の夜のことだよ。仕事の人と何人かで飲みに行くらしくて」