4748日後のクリスマス


気が付いたら、口が勝手に動いていて。
咄嗟に嘘を吐いていた。


「ふーん。キョーちゃん、もう二十歳過ぎてるんだもんねー。いーなー」


吐いた嘘に美菜は勘繰ることもなく、呑気にそう言った。


「まぁ美菜もあと少しじゃん。それまで我慢我慢」


俺も安心して笑ってそう返した。
二日後までの、我慢だ。



「……仕事の人って、女の人?」

「は?」


またしても突然、美菜はそう言った。
何で急にそんなことを聞いてくるんだろう。


「声、女の人っぽかったから…」

「あぁ、事務の人。ちなみに年上だよ」


…あれ、別に年上だなんて言わなくてもよかったのか。



「……キョーちゃん、あたしって子供?」


少しの沈黙の後に、美菜は言った。


「え」

今日の美菜は突然だらけだ。



『あたしって子供?』


改めて“子供”って言われれば、子供かもしれない。
あと二日で十九だけど、実際まだ十八なわけで。

どっちにしろ、未成年なんだし。


「どうしたの急に。
…まぁ、年下だし、子供っていえば子供じゃね?」


正直にそう答えると、美菜は俯いていた顔を上げ、気が付いたら俺は、


「キョーちゃなんて大っ嫌い!」


…と、一番言われたくない言葉を言われていた。





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