4748日後のクリスマス


「あれ、中野くん今日車なの?」


社員用の駐車場を歩いていて、一台の車の前で斉藤さんは足を止めた。


「いつもは歩きだよね?」

「そうなんですけど、今日は車で。あ、斉藤さんも車でしたっけ」


街まで斉藤さんを歩かせるわけにも行かないし、今日は自分の給料で買った車で職場まで来た。


「ううん、私も歩き。ごめんね、わざわざ…」

「いえ、全然!こっちこそ迷惑掛けてるんで。車くらいどうってことないです」


そう?と斉藤さんは遠慮がちに助手席に座った。



「ねぇ、どこのお店に行くとか、目星はつけてるの?」


車を走らせている途中、斉藤さんは気になっていたのかそう聞いてきた。


「いや、全然です。適当に街に行けばいーかなーって」

「じゃあ、私のお勧めの所でもいい?そこ、色々な感じの物が揃ってるから」


確かに、そういうことについて全く知らない俺より、斉藤さんの方が確実だ。
やっぱり、斉藤さんについて来てもらってよかったのかもしれない。




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