4748日後のクリスマス
「あ、中野くん、ここだよ」
街の大通りを車で走る中、斉藤さんは目的の場所を見つけたようで、その場所を指差した。
そこは大き過ぎるわけもなく、かといって小さ過ぎるわけでもなく、至って普通な大きさのジュエリーショップだった。
駐車場に車を止めて店の中に入ると、客はほとんどが女。
男なんて、カップルで来たのだろう、数人しかいない。
…うわ、初めてジュエリーショップに入った。
恥ずかしい気持ちを抑えながら、俺は自然に俯き、斉藤さんの後を追う。
「美菜ちゃんって、どんな感じの子なの?」
「え」
突然俺の方を振り向いて言う斉藤さんの言葉に、俺は咄嗟に戸惑いの声を漏らしていた。
「どんな感じっつっても…」
「ほら、指輪も色々あるから。何色がいいとか、形とか」
成程。
そういうことから探していけばいいのか。
「美菜って色白なんすよ。そんでピンクとか白が似合いますね」
「なんとなくわかるかも。可愛いんだね、美菜ちゃん」
ガラス越しに指輪を眺めながら、斎藤さんは顔を緩ませて笑った。