4748日後のクリスマス
「いらっしゃいませ。指輪をお探しですか?」
二人で少しずつ美菜への指輪を探していると、それに気付いた店員が笑顔を見せて声を掛けてきた。
「あの、エンゲージリングを探しているんですけど…」
どう答えていいかわからない俺の変わりに、斉藤さんが変わりにそう答えてくれた。
…やっぱりちょっと、いや、かなり恥ずかしい。顔が真っ赤になったのが、自分でもわかる。
「この方にはこの指輪がお似合いになると思いますが、いかがでしょう?」
店員は営業用だろうか屈託のない笑顔を見せてそう言った。
その店員の言葉を聞いて、隣の斉藤さんは焦ったように弁解した。
「あ、違うんです!私はただの付き添いで…」
「これは、大変失礼しました。では、どういったものをお探しで?」
一瞬、屈託のない笑顔が崩れかけ、店員は微かに取り乱した。
でもそれはごくわずかのことで、すぐに今までのような笑顔を見せた。
「えっとピンクとか白系で、なんつーか、柔らかい感じの雰囲気のものがいいんですけど…」
「それでしたら、こちらの物がよろしいかと…」
俺の要望を直ぐに取り入れた店員は、俺達を店の奥のガラスケースまで案内した。
「わぁー!見て、中野くん。可愛いのがいっぱいあるよ!」
隣で斉藤さんは目を大きく開いて、かなり興奮していた。