4748日後のクリスマス


それは、店員の表情を見ればすぐにわかる。

だけど美菜には、一番これが似合う。



「これ、ください」


店員にそれを差し出すと、彼女は快く承ってくれた。


「美菜ちゃん、喜んでくれるといいね」


斉藤さんは、そう言って本当に嬉しそうに笑ってくれた。

その指輪が、予想外に高かったけど、珍しく俺は奮発した。
当分は、金を使わないようにしよう。





「今日は本当にありがとうございました。結局、こんな時間になっちゃって」


指輪を買って店を出たものの時間はかなり経過していて、斉藤さんとファミレスに寄って、時間はあっという間に10時は過ぎていた。
それから車で斉藤さんを家まで送って、時間は11時近く。


「いいよ、私も楽しかった。またね」


やっぱり、斉藤さんはすごくいい人だ。






――
――――


家に着いたのは丁度11時。
いつもより疲れた俺は、直ぐ様ベッドに倒れ込んだ。
ズボンのポケットに美菜への指輪が入ったままだったから、寝心地は悪かったけど。


家のインターホンが誰かによって連打されたのは、それからすぐのことだった。





< 59 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop