4748日後のクリスマス
家に着いたのは丁度11時。
いつもより疲れた俺は、直ぐ様ベッドに倒れ込んだ。
ズボンのポケットに美菜への指輪が入ったままだったから、寝心地は悪かったけど。
家のインターホンが誰かによって連打されたのは、それからすぐのことだった。
…これは、新手のピンポンダッシュか?
こんな時間に、しかもこんな連打するなんて、いたずらだと思うのが普通だ。
階段を降りてそっと玄関まで行くと、インターホンではなくドンドンとドアが叩かれた。
その行動に俺は驚いて、急いで戻ろうとしたけど、それはドア越しの人物によって防がれた。
「キョー兄ちゃん!いるんでしょ、早く来てっ」
……なんだ、杏菜か。
安心してドアを開けると、杏菜は泣きそうな目をしながら俺を見つめていて。
正直、かなり焦った。
「どうしたんだよ、こんな時間に。しかもその顔」
「キョー兄ちゃん、なんで女の人といたの!?」
「はぁ?」
杏菜のその言葉に、俺は眉を寄せた。
女の人というのは、きっと斎藤さんだ。
杏菜は一緒にいるところを見たのだろうか。
だとしても、何でそれを俺に言う必要がある?
「夕方、お姉ちゃんと一緒に街に買い物に行ったの」
……なんだって?
じゃあ、俺達を目撃したのは杏菜だけじゃなく、美菜も……?