4748日後のクリスマス
13年後の誕生日
「…美菜」
「え?」
咄嗟に美菜に声をかけると、美菜は振り向いて、驚いたように俺を見た。
「え、キョーちゃん、なんでここに…」
目を丸くしてそう言う美菜。
だけど俺は、それどころじゃない。
「馬鹿お前こんな時間に出歩いてんじゃねーよ馬鹿!
しかも立ち入り禁止んとこに入ってケガしたらどーすんだよ馬鹿!」
もう工事が始まってたら危ない。
下手したら、大怪我するかもしれないのに。
これほど大声で怒ったのは久しぶりだ。美菜はビクついて、涙目になっていた。
「三回も馬鹿なんて言わなくていーじゃん!
てか、本当になんでここに…」
「杏菜にお前が出かけたって聞いて…
もしかしたらって思ったんだよ」
ほんと、すげー心配したんだぞ。帰ったらもっと怒ってやる。
そんな俺の思いとは裏腹に、美菜はまた目を丸くして、俺に聞いた。
「キョーちゃん、覚えてたの?約束のこと」
……それは、こっちが聞きたいくらいだ。
「当たり前じゃん、俺が言ったことだし…。
だけど、夜中に来いなんて言ってねーし」