4748日後のクリスマス
365×3の始まり
――あれは今から、数年前のことだった。
「えっ、キョーちゃん北高行くの!?」
あたしが中学一年生、キョーちゃんが中学三年生の冬。
キョーちゃんの志望校を、この日あたしは初めて聞いた。
いつものようにキョーちゃんの部屋に遊びに来て、そこに宏樹くんもいて。
普通の話をしていたのに、それがいつの間にか高校の話になっていて。
そしてキョーちゃんはもう、その志望校に推薦で受かっている、と。
それも初耳だ。
「俺も受かったんだよ!すごくね?」
キョーちゃんの隣で笑顔でそう言う宏樹くんを横目に、あたしは必死に頭の中を整理しようとした。
「北高って、本当に受かったの!?」
だけどどこをどう考えても整理はつかなくて、あたしはキョーちゃんに詰め寄った。
北高といえば、この辺りでは最も偏差値の高い学校で。
お世辞にもキョーちゃんの成績は、いいと言えない。
ついでに宏樹くんも。
そんな二人が推薦で受かるなんて、いつの間に。
いや、そもそもどんな手を使ったんだ。