4748日後のクリスマス
…なんて願いも儚く、夜はあっという間に来た。
「………ひ、久しぶり」
目の前にいるキョーちゃんは、目を大きく開いて、かなり驚いた表情だった。
真っ黒な髪の毛に、高い身長。
夏に見たキョーちゃんとは、変わっていなかった。
「……なんで……」
なんでいるの?
キョーちゃんはきっと、そう思っていたはず。
「ごめんねキョー兄ちゃん。お姉ちゃん帰ってくるの内緒にしてた」
杏菜のその言葉に、キョーちゃんは、はぁ、とため息を吐いた。
「いつ帰ってきたの?」
「あ、昼間だよ。昨日から冬休みなの」
そう答えると、キョーちゃんは笑ってそっか、と言った。
笑ってと言っても、口元は笑っていたけど、目は笑っていなかった。
「あら京平くん、いらっしゃい。中野さんもわざわざすみませんねぇ」
キョーちゃんの後ろにいたおばさんは、お母さんに声を掛けられて笑顔で答えた。