梟~幼少編~

翼飛の決断

「ただいま」

翼飛は家に到着すると台所へと向かった。
台所では妹の羽陽が夕飯の支度をしていた。翼飛はテーブルの椅子に座った。

「お帰り。お兄さん」
「うん…」
「まだ抜歯は取れないの?」
「うん…」
「もう二か月経つのにね」
「うん…」
「兄さん聞いてるの?」
「うん」
「うん」

翼飛はボーっとして羽陽の質問にも適当に答えていた。

「兄さん!!!」

それに見かねた羽陽は大声で翼飛を気付かせた。

「もう、どうしたの?何かあったの?」
「いいや…」
「うそ。さっき族長と威白兄さんが来たわ。何か言われたんでしょう?」
「ああ。言われた。教育係にならないかって」
「教育係?誰の?」
「威白さんの子供。梟悦っていったか?」
「梟悦って龍峰さんの…」
「な、羽陽はどう思う?」
「そうね。引き受けてもいいんじゃないかしら。ここで違う空気を吸うのも気分転換にいいわ」
「みんなそう言う。わかった」

そう言って翼飛は自分の部屋へ向かった。
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