梟~幼少編~
梟悦は涙目になっていた。同じ境遇にあった人を見るのは初めてだった。
いつも自分だけがこんな運命なんだと思っていた。
どうせ自分の気持ちなんてわかる人間はいないと思っていたから翼飛の言葉が心に響いた。

「な、梟悦」

下を向いて作業をしていた翼飛が突然上を向いたので梟悦は慌てて涙を拭いた。

「ん?何泣いてんだ」
「泣いてなんかねーよ」

強がる梟悦をみて翼飛はフッと笑った。

「さて、今日は夕飯食って風呂入って寝んぞ。勉強は明日からだ」

そう言って翼飛は羽陽の手伝いをするために台所へ向かった。
梟悦の心には『見返す』という言葉が突き刺さっていた。
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