犬旋風
なんでそんなに社会が好きなのかは未だなぞに包まれている
「なぁ、椎愛。あっこの店にちょっと寄ってみようぜ」
椎愛とは私の名前
私の名前は桜田 椎愛【サクラダ シイネ】
「…仕方ないなぁ~」
「サンキュ~」
狼が行きたいと言った店は、どこにでもありそうなちっぽけなカフェ
なんでも寒いからコーヒーが飲みたいとか言っている
なんか狼らしくない
‐カラン‐
入口のベルが人が入ると同時に、店内に鳴り響いた
それがあまりにも心地よかったので、静かに耳を澄す
「マスター!また来たぜ」
「あぁ、狼か。いらっしゃい」
「これ、俺の連れの椎愛」
彼は私を見ると、すごくびっくりした顔をして静止した
「おい兄貴?」
「お…おう、なんでもないよ。あまりにも昔の知人に似てたからさ」
彼は本気でびっくりしたようで、少しずれかけた眼鏡を慌てて直す