犬旋風
「本気で飲むわけ?」
念を押す様に、狼が聞いてきた
「当たり前じゃない、しかももう頼んじゃったしさ」
「うまかっら俺も飲も」
「あたしは毒味かよ!」
これも、今年最後のこの今の時代での狼との会話だった
‐グビッ‐
思いっきり勢いをつけて飲んだものの、少し熱くて驚く
「どうなわけ?」
狼からのその質問に答えようと口を動かすが、言葉が出て来ない
えもいえぬ味が口に広がり、だんだんと目の前がかすんでいく
「椎愛!?椎愛?!」
必死で狼が私を呼ぶ声も、今の私には遠のいていき、聞こえなくなる
一体なにが起っているのだろう?
目の前がぐにゃりとねじ曲がり、どこにいるのかもわからないぐらい歪んだ
私、どうなってるの?
次に私が意識を取り戻した時には、景色は一転していた