【番外編集】オレンジ色の奇跡

 ボッと顔を真っ赤に染めた優衣は、恥ずかしくなったのか、ダッシュで逃げた。

 ダッシュ……ダッシュ………。

 気付けば緩み口元を手の甲で押さえ、優衣のその小さな背中を追う。

 玄関までやってくると、下駄箱の影からひょこりと申し訳なさそうに優衣が顔を覗かせた。

「…………ごめんなさい」

 瞳を揺らしながら上目遣いで謝る優衣をそっと抱きしめる。

「ちょっと傷ついたなあ」

「あっ……う……」

 言葉に詰まる優衣の頭にキスを落とし、靴を履くように促した。


 校門を出れば生徒の数がちらほらいるくらい。

 そっと気づかれないように手を伸ばし優衣の小さな手を捕まえる。

 ギュッと握れば優衣も優しく握り返し身体を寄せた。

 優衣にしては意外な行動に口元が緩んでしまう。もしかしてさっきのことを気にしてるのかな。

「先輩……ごめんなさい……」

 呟くようにそう言った優衣は俯いている。

「ははっ。気にすることないのに。まあ、ちょっとからかったつもりだけだったんだけどね?」

「………意地悪っ」

 ふいっとそっぽを向いた優衣を、抱き寄せ桜色の唇を奪う。

「―――っ!」

「これで許してあげる」

「……こんな道端でっ!!」

 カァァァっと赤くなる優衣の頭をポンポンと撫でてまた手を繋ぎ歩き始めた。


◇◇◇
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