【番外編集】オレンジ色の奇跡
〜晴樹の直感〜(サクじゃねぇぞ?俺の直感だからなっ)
※本編の〈隠した思いと隠された思い〉で、陽(よう)が啓輔に会いにいくまでの流れです
晴樹Side
「ねぇ、未和。真っ白でふわふわで首元に淡いピンクのリボンがついてるうさぎのぬいぐるみってどこに売ってると思う?
……え?あ、未和じゃなくて。うん、そう、舞希。
仲直りしたのはいいんだけど、俺が昔壊したぬいぐるみを買ってこいって」
俺の目の前で、にこにこしながら電話をしてるサク。
まじ、目障りなんだけど。
人の目の前で、しかもわざわざ俺の部屋でサクの女――未和さんに電話する必要があるのか?
深く長いため息をついて、自分の部屋から出て、リビングに向かえば、ついてくるし。
「……クソ兄貴」
「そうだよね、うん。あっ、ちょっと待って。………なんか言った?」
「何でもねぇよ」
ったく、何なんだよ。
俺に見せつけたって、なんにもなんねぇだろ。
キッチンにコーヒーを入れにいくついでに、サクを蹴飛ばす。
「いっ!?……ご、ごめん。晴樹に蹴っ飛ばされただけだから。え?別にいいんだよ。晴樹なんて気にしないで?……うん。それはさ――」
俺に蹴っ飛ばされたのも気にせず電話するって、どんだけ未和さんに惚れてんだよ。