【番外編集】オレンジ色の奇跡
舞希が失恋したっていうのに、呑気に女と電話しやがって。
だいたい、舞希の電話も変だったんだよな。
『あたし、岩佐先輩と別れたの。…振ったんだ。だから、先輩は何も悪くないからね?』
サクの携帯にかかってきた電話をハンズフリーにして食い付いた。
舞希が言った事を鵜呑みにしたこの馬鹿シスコン兄貴は、うさぎのぬいぐるみ探しに必死。
……でも。
声質が違った気がする。
泣くのを堪えているような、悲しみが滲んだ声。
不思議に思って、大輔を問い詰めて見れば。
『啓輔、舞希ちゃんを振ったんだって』
悲しそうに瞳を揺らしながら、大輔は『ごめんね。僕の弟が』だってさ。
あんなに舞希に惚れてたバカが、俺達に舞希を守ると誓った男が。
簡単に舞希を捨てると思うか?
……ぜってぇ、ありえねぇよな。