【番外編集】オレンジ色の奇跡
電話の相手が出た時に、ドアの向こうで「何してるんだよーっ!?」と聞こえたが、聞かなかったことにした。
『嫌だ』
「用件聞いてから断れ」
開口一番「嫌だ」と言い放ったこの男――日生陽(ひなせよう)は、サクの親友。
『俺だって暇じゃねぇんだよ。
だいたい、サクが“うさたんうさたん”とか電話口で連呼したり、メールが来たと思ったら、うさたんだらけだしよ。なんなんだよ!』
「だからって俺に当たることねぇだろ。……あ、ってことは舞希と啓輔のことも、聞いたんだろ?」
『…ああ。確か、舞希が振ったとかなんとかって、サク言ってたけどそれがどうかした?』
「逆、なんだよ」
『は?……啓輔が舞希を振ったってことか?でも、それはありえねぇんじゃねぇの?啓輔、結構惚れてたじゃねぇかよ』
「そうだけどさ。大輔に聞いたんだよ。そしたら、啓輔が振ったんだってさ。
それで、変だなって思うだろ?だから、調べたんだよ」
『やっぱさ、サクとハルの違うところって人を頼るか頼んないかだよな』
「ま、これからヒナに頼るんだけどな」
電話の向こうで、ヒナが『げっ』って言っているのを無視して、俺が調べたことを伝える。