夢見月夜に華ト僕<連載中>
みるみるうちに凍り付いていく様が、面白くて仕方なかった。
多分きっと、私はもっと“人間”が見たかったのだ。
本物の“人間”が――
「じゃあアンタは、海斗とはどういう関係なの?」
「さぁ?なんでしょう」
「アンタ、一体何者?」
「……さぁ?」
私のフザけた受け答えのたびに、私達を取り巻く空気が、強張っていくのがわかった。
ふと目をやった拳には、震えるほどの力が込められていた。
さすがに、痛いのは嫌だなぁ……
だけど、あながちフザけていただけでもない。
これらの質問は、簡単そうに聞こえて、難しいものばかりだった。
……私にとっては。
「じゃあ、なんて名前よ?」
あぁ。
やっとまともに答えられる質問をくれた。
さすがにそろそろ、まともな返答をやるとするか。
「私の名前は、サ――」