夢見月夜に華ト僕<連載中>
「……はっ!?」
正常な反応よりも、数秒の遅れを取りながら、
俺は、シンとした空気を裂くような、バカみたいに大きな声を上げた。
俺の口から発せられた、言葉にならないただの一音には、
心の底からの、疑惑と困惑の気持ちが詰め込まれていた。
あまりにも予想外の答えすぎて、フリーズした思考のせいで、
俺は、この突飛な解答に返す言葉を失っていた。
「……本当よ?この池のね」
混乱をマヌケにも丸出しにした顔をしていると、女は池を指差して
もともと弧を描いていた唇を、さらに大きく婉曲させた。
……なんだよ、これは。
俺は、バカにされているのか?
我ながら情けないと思うが、今になってようやく状況が呑み込めてきた。
そのフザけた言葉。
人をおちょくるような笑み。
そう思い始めてから、沸々とくすぶり出した怒りが大きくなるまでは、一瞬だった。