夢見月夜に華ト僕<連載中>
気掛かり
いつのまにやら、
あれから1ヶ月――
俺に流れる時間は、瞬く間に過ぎていた。
自分を取り巻く、新しい環境に追い回され、あっという間に終わる毎日。
そんな中で、あの日出逢った女は、俺の心の隅っこの方でボヤけ、
今となっては、かろうじて存在しているだけとなっていた。
いつも通り、暇でたまらない講義を上の空で済ませ、バイトを終えて帰宅した頃には、
まだ真新しい白をした、飾りっけのない寂しい壁に、遠慮がちに掛けられた時計が12時を指そうとしているところだった。
そして俺は、一日の汚れを手抜きのシャワーで落とし、冷蔵庫に向かった。
近頃では、切れることなく冷蔵庫に常備されている数本のビール。
その中の一本を、手慣れた手つきですばやく取り
プシュッという効果音と共に、俺は大人になったという匂いを感じる。
一日の疲れを癒す時間。
この頃、すっかり日課と化してしまった、風呂上りの一杯。
まだこの年で、やけに親父くささの漂う自分に、少しショックを覚える。