夢見月夜に華ト僕<連載中>
プルルルル――
そんな時、俺の至福の時間を妨げる音が、ベッドの上に無造作に投げつけられていた上着の中から響いてきた。
着信“金森 結衣”
一応、彼女っていうポジションにいる奴だ。
結衣とは、たまたま見学に行って、たまたま入ったサークルで知り合った。
初めて会話を交わしたのは、新入生歓迎の飲み会。
顔の可愛さと人懐っこさに惹かれて、酒のテンションにつられて……
朝、目覚めると、結衣は俺の隣に居た。
正確に言うと、俺のベッドに居た。
酔った勢いで……
なんていう、ドラマとかで見るような、ありきたりなよくあるパターン。
そんな俗悪なことを、まさか、自分が経験してしまうとは思っていなかったが。
まぁ、そういうわけで、この日から結衣はすっかり俺の彼女気分だし、
俺の方も、別にそれを否定する理由も思い付かなかったわけで。
俺達の関係は、続いている。
まぁ、若さ故にできることってわけで、勝手に自分を正当化して、
軽い気分で、なんとなく今までそのままでいるのだ。