夢見月夜に華ト僕<連載中>
……ちょっとだけ。
ちょっとだけなら――
俺も懲りないな。
と、一人で呆れながら、脱ぎっぱなしの上着に、もう一度手を通す。
靴紐をほどきながら、面倒だからやめようかと、心が折れそうにもなったが、
それでもやはり、好奇心には勝てなかった。
生温い夜風を頬に感じて、俺は外に出る。
あの時のように、また歩いていこうかとも考えたが、
俺の中の、一刻も早く確かめたいという気持ちが勝利し、俺はバイクにまたがる。
バイクを飛ばせば、あっという間の公園に行き着くために、
俺はまるで、何キロもの道のりを辿り着たかのような考え事をしていたような気がした。
緊張からか、なぜか強張った動きでバイクを止め、
俺は、二度目となるこの場所へと、足を踏み入れる。
相変わらず……
何にもねぇところ――
1ヶ月前と何ら代わり映えのない景色に俺は、半分ずつの安心と不安を抱いた。