夢見月夜に華ト僕<連載中>
「どう?図星、でしょ?」
「ちがっ――」
否定しようとして、俺は途中で言葉を切った。
はっきり言って、言い切れないのは事実だし、サクラの話には、まだ続きがありそうだったから。
俺は黙って、サクラの言葉の続きを待つことにした。
案の定サクラは、作為のない笑顔には似合わない、鋭い言葉で、俺の心を突いてくる。
「カイはさ、マジメ君なんだよね?いっつもみんなと一緒じゃないと不安なんでしょ?」
小バカにしたような、自信満々の口ぶり。
まるで、自分はなんでもお見通しだ、とでも言いたげな。
なんだよ、コイツ。
俺の何を知っているっていうんだよ――
そして、何も言い返さない無言の俺に、サクラはトドメをさした。
「たまには冒険してみる勇気はないの?臆病者のカイちゃん――」
挑発されていることは、わかっていた。
けれど、そのサクラの一言に“俺”を繋いでいた頑丈であったはずの糸は、
いとも簡単に切れ、俺は、俺自身を手放した。