夢見月夜に華ト僕<連載中>



結衣の弁当を持って、俺達は食堂を後にする。


結衣は可愛い。

いい子だとも思う。



だから、これは……

“恋”ってことにして、いいのだろうか?


“好き”っていうのは、こういう感情のことをいうんだったっけ?


俺は、結衣を好きなのだろうか……?



容姿も性格も悪くない。

学力だって、ちょうど釣り合う。


結衣は俺の中で、一定の条件をクリアしている。

だから俺は、結衣と今こうして並んでいる。



本当にこれを“恋”と呼んでも許されるのだろうか。


いや、こんなことに疑問を抱いて、悩んでいること自体、もう間違っているのかもしれない。



いつからか、俺はそんな薄汚い計算しかできなくなった。


だけど、何のメリットもなしに、無条件に、無防備に、誰かを愛することなんて、

こんなにデカイ体に成長してしまった今では、到底無理な話だとも思う。


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