夢見月夜に華ト僕<連載中>



そして、この幸せ、この恋心は……

未来永劫、永遠に続くものだと、少しも疑うことなく、信じてやまなかった。



今は完全に見失ってしまったが、その頃の俺は

“永遠”という掴めない言葉の意味を、理解していたように思う。


確かに、俺の未来予想図には、その子が存在していた。



けれども、そんなもの所詮は、中学生の戯言にすぎない。

思考回路も、何もかもが幼すぎる。


時間が経ち、環境が変われば、不確かな気持ちなんてものは、

いとも簡単に崩れ去ってしまうものだということを、俺は知った。



あんなに恋焦がれたはずだったのに……

二人を繋ぐものが跡形もなく消え去ってしまった後の俺は、あっけらかんとしていた。


俺の生活の一部だったはずなのに、実際のところは何の支障もきたさない。



……こんなものか。

大恋愛が終わった後に残った感情は、たったこれだけだった。



それって恋じゃなかったんじゃないの?

そう言われてしまえば、それまでだけど……


だけど、あれが違ったというのは、どうしても思えない。


確証はないが、自信を持ってそう言える。



しかし、思えばこの時からだ。

今の俺をつくるキッカケとなったのは。


“愛”だの“恋”だのという言葉は、永遠だとかいうものは、

ヒトが自分本位につくり出しただけに過ぎない、願いのようなものなのだと――


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