夢見月夜に華ト僕<連載中>
恋愛だけに限らず、今の俺にとってのあらゆる人間関係も、全てよく似ている。
友達面しても互いの本質など全く見ていない。
見るつもりもないし、見せる必要もないのだ。
信じなければ、裏切られることもない。
話すことは、いつだって本音の、一歩も二歩も手前。
笑い話で会話を埋めれば、それなりに楽しい時を潰せる。
これが、十数年生きてきて身につけた、うまくヒトと付き合っていく方法だ。
「――ねぇ、聞いてる?」
「えっ!?は?」
「もぉ!日曜はどこに行こうかって話。海斗のバカ!」
「あ、あぁ……」
すっかり回想モードで浸ってしまっていた俺は、いつの間にやら、結衣との会話を放り投げていたらしい。
「なんか、海斗ってたまに、ボーッとしてるよね」
「ゴメンゴメン。日曜だろ、結衣は何処に行きたい?」
苦笑いで謝って、口を尖らす結衣の機嫌を収めながら、話を進める。
「ま、いっか。んー……映画とか見たいな」
「じゃあ、そうしよう」
コイツとは、どこまでの関係が築けるだろうか?
俺の心を、どこまで支配してくれるだろう?
笑顔を取り戻した目の前の女を見ながら、俺はぼんやり、そんなことを思った。