夢見月夜に華ト僕<連載中>
そうして、ごくありふれた日常を過ごし、他愛もない会話に取り囲まれながら、
俺は、結衣との約束の週末を迎えた。
あの日、サクラ交わした約束を、果たせないまま――
……違う。
俺は、果たせないでいるのだ。
あの時、慣れない状況の中で、冷静さを欠いた俺は、勢いだけにまかせて言葉を放ってしまった。
が、冷えた頭でもう一度、想いを巡らせてみると、どうしても会いに行く気にはなれないでいる。
当初は、いつ会いにいこう?なんて、恐れの中に、半ば期待や好奇心を含みながら考えていたものだが、
時間が経てば経つほど、なんだかどうでもよくなってきた自分がいるのも、また事実だった。
そもそも、大体からして意味がわからない。
アイツは、いつでもいいと言っていたが、公園に住んでいるとでもいうのか?
そんなこと、絶対ありえるわけないだろう……
俺は、昼間のあの公園も知っているが、あんなに静まり返った、奇妙な空気を漂わせているのは夜の間だけで
日中は、ガキとその母親達で、結構賑わっている。
それに、サクラがそんな……
言ってしまえばホームレスのような暮らしをしている風には、どうしても見えなかった。
どちらかといえば、そんなものとは間逆の存在。
サクラがまとう空気には、そう思わせるようなものがあった。