夢見月夜に華ト僕<連載中>
そんな俺は、意外にもあっけなく、サクラとの再会を果たすこととなる。
皮肉というべきか、そのキッカケをつくったのは、結衣だった。
久しぶりに、俺のアパートに遊びに来ていた結衣を、最寄りの駅まで送り届けた帰りのこと。
少しでも長く一緒に居たいという、結衣の可愛い希望で、俺達は歩いて駅に向かっていた。
その途中で、必ず通るあの公園。
結衣が隣に居た行き道では、さほど気にならなかったのに、
一人の帰り道になると、きちんと視界に入ってくるものだから、不思議だ。
特に何かを深く考えるわけでもなく、通りすがりに、俺は門の外から中を覗き込んでみた。
見た限り、サクラの姿はない。
当たり前……か。
なのに不思議だ。
今、この場所にサクラの姿がないことに、疑問を感じている自分が――
なぜだかわからないが、サクラはいるものだと、心の奥底で、
知らず知らずのうちに、予感めいた頼りない確信を、抱いていた自分に気付く。
それは、二度も奇跡とも呼ぶべき、偶然の出逢いを果たしてしまった後だからなのだろうか。
俺は、サクラとの出逢いに“運命”なんていう、うさんくさい匂いを感じてしまっていたのかもしれない。
そんな運命に吸い寄せられて、すぐに諦め切れなった俺は、
ちょっとだけ待ってみようか……なんて、考えていた。
――そんな時だった。