夢見月夜に華ト僕<連載中>
困惑
相変わらず、どれだけの時間と会話を重ねても、
サクラを知る手掛かりは、何ひとつ得られないままの日々が続いてた。
いつも、うまい具合いにはぐらかされてしまう。
気付けば、いつの間にか自分のことばかり話している。
そんな不思議な瞳を、心を、力を持った女だった。
それでもよかった。
幸せというのは、少し違うかもしれないが、そんなものに似た想いでいたはずだった。
けれど、99%の満足の中にある、残り1%の不満が、少しずつ、少しずつ……
気付かぬうちに、俺の中を巣食っていた。
そして、満たされていた心に、物足りなさが積もり始めていたある日だった。
ついにそれは、衝動という、安易で愚かな感情に姿を変えた。
すっかり一連の流れとなった別れの後、俺は、俺が居なくなったその後のサクラを知りたくなった。
せめて、いつ公園を出るのかくらい知れればいい。
それは本当に、ふと思い付いただけの、さして大きな意味も持たない行動のつもりだった。
この公園に、出口がひとつだけしかなくてよかった。
そう思いながら、公園から少し離れた角の物陰に隠れて、まるで、サスペンスドラマの中にいるような気分で、
俺は、ドキドキとワクワクの入り混じった気持ちを抑えながら、サクラの姿が公園から現れるのを待った。