夢見月夜に華ト僕<連載中>



そんなことを考えるくせに、何をどうしたいかわからない自分が、さらにイライラを募らせる。



こんなことを考えるのは、俺だけなのだろうか?


贅沢な悩みだと叱られるだろうか?

異常だと、バカにされてしまうのだろうか?



……いつからだろう?

月を見る夜は、いつもこんなバカげた感傷が俺を包む。



なのに、どうして……

どうして、こんな場所に来てしまったのか――



俺は、久しぶりに一人の夜を過ごしていた。

さすがに毎晩遊び歩くだけの、金も体力もないから。


だけど、自由の使い方が下手くそな俺は、持て余した夜に

結局、酒でも飲もうとコンビニに向かう途中だった。



今まで比較的マジメに生きてきた俺も、大学生になったことをきっかけに、

付き合いやら好奇心やらで、飲むようになった。


初めは、ただの苦い薬にしか思えなかったのに

今ではすっかり、当たり前のように飲めるようになった酒。



簡単に気分を高揚させてくれて、くだらない胸のモヤモヤなど、

どうでもいいように思わせてくれる、この魔法のような飲み物に、俺はすでに頼り始めていた。



普段ならバイクで移動するものを、外に出た時に感じた涼しい夜風がやけに気持ちよかったので、

俺は、気分を変えて、コンビニへ歩いていくことに決めた。



そして、その途中でこの公園を見つけた俺は、コンビニに向かう足を止め、

ふと、まるで吸い込まれていくように、引き込まれていってしまったのだ。



この場所に立ち止まった時、俺を歩かせた夜風は、

何の気配も残さず、ピタリと消えていることに気付いた。


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