夢見月夜に華ト僕<連載中>
とにもかくにも、他の誰でもない、俺自身が“変わらないこと”を望んだのだ。
だから、俺達は今日も、月影に肩を並べている。
別に、利用されていたって構わない。
俺だって、言ってしまえば、サクラの存在を利用させてもらっているに過ぎないのだから。
普段の自分と隔離された時間は、俺の中で淀むモヤモヤをウヤムヤにしてくれる。
所詮、俺達なんて、あの公園の中だけで生きることのできる、幻であり、嘘の鎧を着たような関係。
形を掴んではいけない。
この手で触れることは許されない。
だから、今ここに在る、俺達の関係が二人にとっては、完成形なのだ。
これ以上、何も進むことはしなくてもいい。
そう割り切って、言い聞かせようとしていた、そんな時だった。
運命のイタズラか、
はたまた、俺のために訪れた、転機と呼ぶべきなのか……
俺は、望まぬ再会を、思いがけない場所で、果たすこととなる。
せっかく頭を悩ませて、やっと出した結論を歪ませようとする、不吉な風を運んでくるような。
そんな、予感を感じさせながら――