夢見月夜に華ト僕<連載中>
俺は、いつものように、まばらな客を眺めながら、コンビニバイトのレジに立っていた。
仕事にも慣れ始めて、こっそりアクビなんて出てしまえるくらい、気の抜け始めた、今日この頃。
適度に肩の力を降ろして、こなせるようになってきた。
とでも、都合よく言っておこう。
バイト帰りに、廃棄のおにぎりでもこっそりもらって帰ろう……
なんて、腹の中で呟いていた時だった。
「ギャハハハ。それ、マジ?」
耳をつんざくような嬌声が、静まり返った、平穏な店内に大きく響く。
俺は、小さくため息を漏らした後に、さらに小さな舌打ちをして、そっと顔を歪める。
下品な高笑いをまき散らしながら、当然のごとく、俺などには目もくれず、
レジの前を通り過ぎていく、男二人組。
俺の方も、無駄に腹を立てるような、体力の消耗はしたくないから、
極力、ソイツらを視界に入れることはしない。
こうやって、無関係の人間同士は、互いにしっかりとした仕切りをこしらえて、無益な交わりは持たない。
今回だって、例外なくそのはず……
だったのに――