夢見月夜に華ト僕<連載中>



広さだけはあるけれど、その割に遊具は少なく、外灯すら付いていない。


意味もないと思っていた月明かりだけが、かろうじてこの公園の存在を残しているようだった。



本当……

見た目どおり。


なんにもねぇ、公園――



俺は、公園の突き当たりにある池の前で、再び足を止めて、大きなため息をひとつついた。


昔は鯉でも住んでいたのだろうか?

やっぱり広さだけはあるこの池も、今は、底など見えないほどに、濁りきった緑色をしている。



池の周りには、子どもが入らないようにと、公園らしい木の安全柵が、グルッと一周張り巡らされていて、

真ん中には、月明かりが創った、頼りなく揺れる道ができていた。



その道の向こうには、この錆びれた公園とは、やけに不似合いな、大きな桜の木が一本だけ、

何を語るでもなく、ただ静かに立っている。


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