夢見月夜に華ト僕<連載中>
「なんだよ?」
その声に、再び興味を示した相手は、同じように声を抑え、少し緊張した声で応戦する。
「最近、ウザイんだよな」
俺の胸が、大きく波打つのがわかった。
「なんでだよ」
「アイツがいっつも家に居ると、女連れ込めねぇんだわ」
「はぁ?そんなこと、最初からわかってたことだろうが」
「いや、最初はいつでもヤれる女が家に居て、便利だと思ってたんだけど……」
胸で起こった大波が、全身を激流となって流れていく。
殴りかかってやりたいと、握り締めた拳は訴えているのに、
そんな自分を、なんとか理由をつけて必死に抑えている、どこかの俺がいた。
勝手なことばかり並べるこの男に、俺はどうすることもできない。
「で?お前、その女どうするんだよ」
核心を突いた質問を、男は、ヤツに向かって投げ掛ける。
「あぁ……」
何かに追い詰められたような、切迫した気持ちで、俺はヤツの言葉を待っていた。