夢見月夜に華ト僕<連載中>
一線
サクラとの再会まで、俺は一抹の不安に襲われ続けていた。
ヤツの軽薄な言葉が、耳にしつこくこびり付いて離れない。
サクラは今頃、どうしているのだろう?
ひょっとしたら、すでにあそこには居ないかもしれない。
だったら、サクラはどうなる……?
冷えた夜街をさ迷うのだろうか?
また誰か見知らぬ男の元に、身をおさめるのだろうか?
もしかしたら、サクラはもう、あの公園には来ないんじゃないか。
そんなに心配なんだったら、あの古びた扉を叩いて、確かめてしまえばいいのに、とも思う。
けれども俺は、どうすることもできず、ただひたすら、サクラの笑顔を思い浮かべ、案じるだけだった。
自分の中だけでは、解決策を見つける術などあるはずもなく、不安が募るばかりだというのに。
俺は、その後に自分が取るべき行動に戸惑って、怖気づいていたのだ。
サクラを救い出すことはできるのか。
そもそも、どうしたらサクラを救い出すことになるのだろうか。
怖くて、身動きできない自分が、情けないとわかっていながら、どうしようもなかった。
そうして、無意味な深憂を繰り返しているうちに、いつもの金曜日が訪れる。