夢見月夜に華ト僕<連載中>
勘のいいサクラのことだ。
きっと薄々、俺の言いたいことは感づいていたと思う。
けれども、感情の読み取れない表情と声で、俺の出方をうかがっているようだった。
「今、サクラが一緒に居る男」
俺は躊躇することなく、核心へと触れていく。
俺は、サクラを追い詰めたいわけではなく、ただ、その先に繋げていきたいだけだった。
サクラと俺に繋がる、未来に……
「……もぉ。カイ何言ってるのよ。意味わかんな――」
「サクラ。隠さなくてもいいから。多分、きっと、俺ほとんど知ってると思うから」
サクラが、惚けようとした真意はわからないけれど、俺はサクラの言葉を制して、
今回ばかりは、引き下がるまいと、なおも言葉を続けた。
サクラを手放さずにいられる方法は、
サクラを俺だけの傍に置くためは……
それは決して、避けては通れない道だったから。
「サクラ……?」
瞳を伏せて、束の間の静寂をつくり上げたサクラは、次の瞬間、
夜空に向かって、あからさまに大きなため息を吐いてみせた。
「なぁんだ!全部バレてたのか。ふ~ん。なんだなんだ……」
それから、独り言のような言葉を呟きながら、清々しい声と、晴れ晴れとした表情で、
観念したかのように、サクラは、月に向けていた視線を、俺に変えて話し始めた。