夢見月夜に華ト僕<連載中>
あの男との出会い。
共に生活を送るようになった経緯。
今の関係。
耳を塞ぎたくなるような内容のはずだったけれど、あまりに予想通りの内容だったから、
俺はどこか、人事のような気持ちで、淡々とサクラの話を受け入れていた。
そして、一通りの話を終えた後、サクラは、言葉を添えた。
さり気なく、けれどはっきりと、意思の宿った声で。
「アイツのことは好きじゃない。けど、カイとは一緒に住めない」
流れるように聞き入れていた心が、遮断される。
「……どうして」
ぼんやりと、遠くに持っていかれるような声だった。
正直、俺は戸惑っていた。
俺はサクラの話を聞いているうちに、不確かで無意識な確信めいたものを、どこかで持っていたから。
「俺より、アイツの方がいいっていうのかよ!?」
俺はつい、勢いあまって、すがりつくような暴言を吐いてしまった。
いくら言葉に詰まったからとはいえ、こんなセリフが飛び出すなんて。
……なんとも、格好悪い。
まぁ、これが俺に潜む、本音ってヤツなのかもしれないけれど。
「そういうのが、駄目なのよ」
「どういうこと?」
「困るの……」
真っ直ぐに、サクラへと視線を預ける俺に向かって、心苦しそうな顔をして、辛辣な言葉を浴びせる。