夢見月夜に華ト僕<連載中>
「傍に居てくれるだけでいい。今までみたいに、俺のくだらない話を、ただ聞いてくれてれば、それだけでいいから」
男のプライドも、何もない。
“サクラを手放したくない”
とにかくもう、その一心だった。
「……わかったよ。カイ」
「サクラ!」
「ありがと、ね」
諦めにも似た、ため息交じりの声で、だけど、健やかな笑顔で、
サクラは、ようやく俺の望んでいた返事をくれた。
そんなサクラを目にすると、やっとのことで、俺のかき乱されていた心も静まってくれた。
こうして――
公園という、この閉ざされた空間から、俺達は、始めの一歩を踏み出した。
……二人、並んで。
一線を越えてきたのは、サクラだったのか。
それとも、俺の方だったのか。
俺が、闇に足を踏み入れたのか。
サクラが、光に手を伸ばしたのか……
とにかく、この時初めて俺達は、ようやく、同じ世界の上に立つことができた。
そう、言えるようになったんだ――