夢見月夜に華ト僕<連載中>
サクラの行動を視線だけで追いながら、そんなことを考えていると、不意に、サクラと視線が絡む。
「カイも早くっ!一人じゃ寒いよ」
サクラは、体全部で、布団の上に座りながら、俺を手招いた。
……どうやら、サクラと俺の考えていたことは、同じではなかったらしい。
同じ布団で寝ること。
それは、サクラにとっては、何でもないことなのかもしれない。
けれど、俺だって一応、曲がりなりにも、健全な男なのだ。
さすがに、隣で女に寝息を立てられて、一晩中我慢しろというのは、男にとっては拷問だろう。
きっと、俺が欲にまかせて体を求めれば、サクラはそれを拒まないのだろう。
それでも、その後に残るものが、どうしようもない虚しさだということが、わかっているから……
どうせ、俺ばかりが、この行為に心を入れて、気持ちを揺さぶられる。
そして、そんな俺を、サクラは冷静な透きガラスのような瞳で見るんだ。
まるで、経験したことがあるかのように、はっきりとした映像で、脳内に想い浮かべることができる。
それが怖くて、俺は、サクラに手を出すことができない。
心には、触れない。
……触れられない。
多分それは、こんなどうしようもないもどかしさを意味するのだろう。
これからも、俺は、その葛藤と戦っていかなければならないのだ。
サクラといると、決めた限りは――