夢見月夜に華ト僕<連載中>
それでも、もはや止まることのできない俺は、確実に実行に移す。
選ぶ女は、なるべく目立たないような……
まぁ、言ってしまえば、いかにも暗そうな女を選んだ。
保存記録として、コピーする時に、こっそり余分に、二枚印刷しておくだけの単純な作業だ。
なんて簡単なのだろう。
こんなに容易く成功してしまうなんて……
俺は、苦労しなかった分、罪悪感もほとんど感じることができなかった。
そして俺は、余裕ついでに、保険証を出した客も、同じように行動した。
だって、もしもサクラが、病気にでもなってしまったら困るから。
サクラのことになると、そこまで気を回せてしまう自分。
こんなに誰かのことを考えたことなんて、今までに一度だってなかった気がする。
とりあえず、このふたつがあれば、ある程度のことはできるだろう。
……俺が、いなくても?
じゃあ、俺は……
必要なくなる?
いや、そんなことは、決してありえない。
サクラに俺は、必要だ。
だって、俺が、サクラを“本当”にしたんだから。
そんな俺を、裏切るはずがないだろう?
小さく頭を振り、脳裏を過ぎるほのかな不安を、俺は拭い去った。