夢見月夜に華ト僕<連載中>
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しかし、やはりというべきか――
平穏な日々は、そう長く続かないものである。
2、3日もすれば、どこからともなくサクラのことを聞きつけた、
大学に来てからの一番の友達、ケンジが、事情をたずねに来た。
結衣とは、なぜだか直接ハチ会うことはなかったが、
ここ一週間で、遠まわしに探りを入れてくるようなメールが、何通か送られてきたりした。
そんな結衣に、俺の方はというと、罪悪感ではなく苛立ちを覚え、無視を決め込んだ。
なんて、理不尽なことをしてしまったのだろうと思う。
俺の彼女は、結衣だ。
別れることすら煩わしくて、結衣の存在をほったらかしにしていた俺は、
本当に自分勝手でいい加減な男に成り下がっていた。
というか、そもそも、サクラと共に過ごすようになってから、学内で結衣と偶然会うことがなくなっていたのも、
結衣が意図的に行動していたということくらい、少し考えればすぐにわかることだ。
俺は本当に、盲目になっていた。
サクラ以外にものに対して、俺は鈍感だった。
どうやら俺は、いつの間にか完全に、最低最悪の男と化していたようだ。