夢見月夜に華ト僕<連載中>
「おい。お前、最近変だぞ!」
「何が?」
「何がって……海斗、最近一体どうしたんだよ?」
「別に。普通だけど」
最初から興奮気味で、一方的に俺をまくし立てるケンジを、
俺は、まるで他人事のように、冷めた気持ちで見ていた。
ケンジというヤツは、世話焼きというか、お人よしというか……
とにかく、いつも何かしら、誰かに、相談を持ちかけられては、
いちいち親身になってるようなヤツだった。
そしてケンジは、俺だけではなく、サークルが同じ結衣とも、仲のいい友達だった。
きっと今回のことも、結衣から相談を受けて、俺の元に来たのだろう。
すぐに、直感でそう感じた。
それから、もうひとつ……
俺は、とても重大な事実を知っていた。
ケンジが、結衣に想いを寄せていることを――
けれど俺は、せっかく平和な俺達の仲に、わざわざ余計な波風を立てたくはなかった。
それは、ケンジの方も同じだったのだと思う。
それに俺の方は、正直に言うと、厄介な事になるのも面倒だという想いもあったし。
だから、あえて気付かないフリをして、ずっと触れないできた。
まぁ、そういうわけで、今回俺に会いに来たケンジは、純粋に俺のことを心配する気持ちもあっただろうが、
“結衣のため”というのが、目的の半分以上を占めていたのではないだろうか。