夢見月夜に華ト僕<連載中>
お前との関係も、ましてや結衣との関わりなんて、どうせ今だけの関係だ。
でも、サクラは違う。
――サクラだけは。
俺は強い視線で、ケンジを見据えた。
「……わかった。お前がそこまで言うなら、本気なんだな」
「……」
そんな俺の決意を、ケンジは都合よく受け取ってしまったらしく、
納得したようなため息をおもむろに吐いて、俺に微笑みかける。
「でも、どうなったって俺はいつでもお前の相談に乗るからな。友達だから」
「……あぁ。助かる」
勝手に熱くなって、挙げ句に自己解決。
笑えるくらい、まったくもっておめでたいヤツだ。
理解者面して、そうやって、結局は、ただの偽善者。
サクラと出逢う前の自分も、そんなヤツだったから、
コイツの心の中に潜む考えは、手に取るようにわかる。
嫌気がする。
男は、腹の中で、ケンジにツバを吐きかけた。
「じゃあ、俺行くわ」
友情ごっこを早々と切り上げ、ケンジに自己陶酔させてやったまま、
俺は一刻も早く、俺を本物へと導いてくれる、サクラの元へと戻るため、ケンジに背を向ける。
そうやって、180度グルリと視線を回した先に立っていたのは――