Cry!Cry!Cry!



のどにつまるようなモヤモヤする気持ちに


胸の鼓動が大きく急かす。



「あっ・・・あの・・・・・」


落ち着けあたし…べつに告白するわけじゃないんだから。



「趣味って…ありますか・・・?」



思いついたのは逆ナンパみたいな質問。



ヒカルくんは外を見ながら考え込む。


「急に言われても・・・」



「ごっごめん・・・。」


やっぱり唐突すぎたか…。


モヤモヤしていた気持ちが苦くなる。




「あっ!」


ヒカルくんが突然、口を開けた。


ヒカルくんが見る外をあたしも見ていると


そこは太陽の光に反射されてキラキラ光る海があった。



急にノドにつまるものも

邪魔する鼓動も


一瞬にして消えてしまったようだった。




「海を見ることかな・・・」


「へ・・・?」


「しゅみ。海を見ること。」


ヒカルくんは海を見てそっと微笑む。



あたしはずっとこの町に住んでいたから


見慣れていた海は少し飽き飽きしていた。




でも、今、ヒカルくんと一緒に見ている海は特別だった。



「そっか…。面白いかもね…趣味って。」


なんて返せばいいのか分かんなくて思いついた言葉を言ってみると


ヒカルくんはフフッと笑った。




「海ってさぁ。空の色が映って青く見えるんでしょ?」


「そっそう!だから、空がなければ海は海でなく…

 ただの海水で・・・」


スムーズに話す事で精いっぱいで何を言いたいのか分からなくなってきた。


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